１０月２３日の日曜授業参観から、一週間の間は毎年恒例の学校公開週間ということで、多くの保護者や近
隣の地域の人々が学校に行きました。昔、学校は地域の文化的な側面を代表する場所であったり、誰もが最
高の敬意を払う対象となっていました。それは子どもたちに教育を授けるという崇高な目的を実践している現
場であったからです。日常の会話の中でも「あの人は、ほんとに真面目な人だよね、まるで学校の先生みた
いだ」とか、「いつもきちんとした服装をしていて、学校の先生みたいだね」とか、なにかにつけて学校の先生
は社会の美徳を代表しているような存在でした。一見して、胡乱なちん入者のような態度や、服装の先生は
いなかったし、社会的背景からして許されなかったのです。現在そのような感覚がなおざりにされ、無視され
ているのは悲しむべきことだと思います。子どもたちに、状況に応じた立ち居振る舞い、言葉使い、服装など
を身を以て教えるのも、また学校の役割の一つなのですから。先生にとって、学校は職場であり、職場は戦
場です。命をかける場所でもあるのではないでしょうか。
　一方、保護者の服装も千差万別です。これも死語になっているのでしょうが、「ＰＴＡルック」という言葉があ
りました。今では「リクルートスーツ」が世間に喧伝されていますが、かつて私たちの親の時代には、おしゃれ
をするのではなく、子の親として恥ずかしくない格好をして学校へ行ったのです。決して、部屋着や、ゴミだし
の姿かたちで教室の中へ入ることはありませんでした。しかし、今はどうでしょうか。身繕いという言葉がありま
す。男は男なりに、女は女なりに、それぞれきちんと身繕いをして赴く場所の一つが学校ではないでしょうか。
　学校や世の中の有り様を子どもたちはいつも観察しながら成長しています。私たち大人の生活や態度のす
べてが、子どもたちにとって生きた教材でもあります。子どもは実際、親にそっくりに育っていくし、また 教わっ
た先生そっくりに成長していくものだと、教育界に長くおられた大先輩に言われたことがありましたが、誠に至
言だと思います。